トップ画像:『百怪図巻』Sawaki Suushi (佐脇嵩之, Japanese, *1707, †1772) – scanned from ISBN 4-3360-4187-3., パブリック・ドメイン, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=5510187による

妖怪「しょうけら」は、江戸時代の妖怪絵巻に描かれる不気味な存在!
家屋の天窓からじっと室内を覗き込む姿が印象的です。
その正体は長らく謎とされてきましたが、 民俗学の研究が進むにつれ、庚申待(こうしんまち)という民間信仰と深く結びついた妖怪であることが明らかになりました。

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「しょうけら」とは?
しょうけらは、 江戸の妖怪絵巻『百怪図巻』『画図百鬼夜行』にも登場する妖怪。
特徴は以下の通りです。
「しょうけら」の特徴
- 天窓から室内を覗く
- 黒い影のような姿
- 三本指の鋭い爪
- 無言でじっと監視する
絵巻には説明文がないため、後世の研究者がその正体を読み解いてきました。
妖怪「しょうけら」は虫!?
「しょうけら」の別名
- 「ショケラ」
- 「ショウキラ」
- 「シシャ虫」
- 「シャ虫」
- 「シシ虫」
「しょうけら」には、「〇〇虫」のよう虫がつく呼び方もあります。
『庚申伝』元禄期(1688~1704年)より
ショウキラハ虫ノコト也、一説三尸ノコトト云
元禄期(1688~1704年)の『庚申伝』には、 「ショウキラハ虫ノコト也、一説三尸ノコトト云」 と記され、三尸(さんし)と同一視されていたことがわかります。
🐛 庚申待と三尸(さんし)─しょうけらの本質

「しょうけら」は、三尸(さんし虫)?
正体は虫なの⁈
どういうこと❓

しょうけらを理解する鍵は
庚申信仰 です。
庚申信仰・庚申待(こうしんまち)とは?
庚申待とは、60日に一度めぐってくる「庚猿(かのえさる)」の夜に、人々が寝ずに夜を明かす日本の伝統的な民間信仰行事です。

↑『太上除三尸九虫保生経』にある三尸の画。
向かって右から順に上尸(頭の中に潜む)、中尸(腹の中に潜む)、下尸(脚の中に潜む)。
※三尸(さんし)とは、道教に由来するとされる人間の体内にいると考えられていた虫(霊的な寄生虫)のこと。
道教において、人間の体内には「三尸(さんし)」という虫がいて、 庚申の夜に人が眠ると三尸(さんしが体の中から出てきて、天に昇り、天帝(閻魔大王)にその人の罪を報告すると信じられていました。
天帝は、三尸の報告に従ってその罪に値する罰として人の寿命を縮めるといわれる。
そのため庚申の夜は眠らずに過ごす「庚申待」が行われました。
しょうけらはこの庚申待において、
- 早く寝た者を監視する(見張る)
- 宿主の悪事を報告する存在
- 三尸そのもの、または三尸の擬人化
として語られています。

三尸の虫は、宿主が寝ている間に体内を抜け出し、天帝に日頃の行いを報告する。
告げ口するなんて!
まるでスパイみたい!

見方を変えれば、悪事をせず、日頃の行いが良ければ
問題ないのだけれどね~
人間、どこかに後ろめたさがあったり・・・
しょうけらの役割:監視と懲罰
しょうけらは、庚申待の夜に人々が規律を守っているかを監視する妖怪です。
- 眠った者を鋭い爪で罰する
- 天窓から覗き込み、油断を見逃さない
- 三尸が体から抜け出すのを防ぐための“恐怖の象徴”
また、害を避けるための呪文として、以下のような庚申待の呪文が伝わっています。
- 「しょうけらはわたとてまたか我宿へねぬぞねたかぞねたかぞねぬば」
- 「ショウキラや、ねるやさるや我床にねたれどねへて、ねへてねたりと」
絵巻に描かれたしょうけら

鳥山石燕『画図百鬼夜行』では、 しょうけらは天窓から室内を覗く姿で描かれています。
トップ画の佐脇嵩之『百怪図巻』でも同様の構図が見られ、 庚申待の監視者としてのイメージが強く残っています。
この「覗く」という行動は、 庚申信仰の“監視”という性質を象徴しています。
現代のしょうけら像
水木しげる作品では、 しょうけらは監視者・寿命を奪う妖怪として描かれ、 庚申信仰の「規律」「懲罰」の象徴として再解釈されています。
現代でも、 “覗く妖怪”として独特の存在感を持ち続けています。
まとめ
しょうけらは、庚申信仰の「規律」「監視」「懲罰」を象徴する存在!
- 庚申信仰に根ざした民俗系妖怪
- 三尸(さんし)の擬人化
- 庚申待の夜に人々が規律を守っているかを監視
- 絵巻では天窓から覗く姿で描かれる
- 全国に広がる信仰系妖怪
という特徴を持つ、非常に民俗学的背景の濃い妖怪です。
しょうけら(三尸の虫)は、宿主が寝ている間に体内を抜け出し、天帝(閻魔大王?)に日頃の行いを報告するという妖怪で、宿主の悪行を告げ口するなんて!
まるでスパイみたいでひどいじゃない!って思ったりもしてしまいます。
しかし、見方を変えれば「三尸」は、自分自身の心が姿を変えたものなのかもしれません。
普段の行いは、しょうけら(三尸の虫)に監視され報告されなくとも、自分自身が一番よく知っていること。
庚申の夜に眠らずに過ごす「庚申待」は、己の心に恥じない行いができているか、自分を戒め自らを振り返るための時間だったのかもしれません。

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📚主な参考文献一覧
- 佐脇嵩之『百怪図巻』江戸時代(1737年)
- 鳥山石燕『画図百鬼夜行』1776年
- 『庚申伝』(元禄期)
- 稲田篤信・田中直日編『鳥山石燕 画図百鬼夜行』国書刊行会(1993年)
- 多田克己・京極夏彦編『妖怪図巻』国書刊行会(2000年)
- Wikipedia「しょうけら」


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